やっとmizhenのお芝居を観ることができた。
佐藤蕗子のお芝居は何度も観ていたが、彼女が所属する劇団mizhenについては縁がなく観ることができなかった。でも、今回はちがった、なぜか観なければならない気がして、スケジュールを空け、mizhen『夜明けに、月の手触りを~2016~』の初日を観劇した。
結論から言おう、mizhen主催で脚本・演出の藤原佳奈は「鬼才」だ。優れた人間を言い表すコトバは沢山あるが、「鬼才」というコトバほど彼女に似合う表現は世の中に存在しない。そして、そんな「鬼才」の創り出した本、そして演出をうけこのお芝居を演じた5人の役者には、感動を超越し「心配」になる程の素晴らしい演技だった。
いや、演技なのか? 演技と表現していいのか? これまでに沢山のお芝居を観てきたけど、ここまで体の芯から揺さぶられたものはない。藤原の創り出す世界を見事に表現し、これまでに無い感覚を覚えた。
観劇してたのに、ジェットコースターに乗せられたままお化け屋敷に突っ込んだと思ったら高い崖から突き落とされて深海まで沈みよく見るとそこは宇宙でもうなんか時間とか空間とかぜんぶ理解不能な状況、でも気づいたら劇場にいた。そんなお芝居ですmizhenの「夜明けに、月の手触りを」とは
— 下北さん (@ymkx) 2016年10月5日
こんな感想をツイートしたが、まさにそんなお芝居だった。空間軸・時間軸の扱いが独特であり、その連続性に最初戸惑うも自らその世界に飛び込んでしまえば、恐ろしいほどその世界と観客である自分がリンクしステージからのありとあらゆる感情がなだれ込んでくる。「解釈しなくてもいい」、実際にはそんなことはないのだが思わずそう感じてしまうほど、体で感じることができるお芝居だった。
3人の客演、よくもまあこんなカラフルな役者を揃えることができたと感心する。【さや】を演じる小野寺ずるさんの美しさを押し殺したような存在感、【しずか】を演じた橘花梨さんのホンモノを越えるホンモノ感、そして【まき】役の神戸アキコさん、、、演じてるのか素のキャラなのかわからない感。
さらにmizhenの二大佐藤。【あさこ】役の佐藤蕗子については、今回も不気味な美しさを放ち時折見せる狂気に震える。一方、【ゆうこ】役の佐藤幸子さん、純朴感そのものの雰囲気から溢れ出す狂気。主宰も含めmizhenは狂気の集団だということをはじめて理解しました。
今回お芝居を観たことで、mizhenは自分の中で追いかけるべき存在だと認識しました。さあ、下北沢で待っているぞ。